スシロー、くら寿司、はま寿司といった回転寿司チェーン店での迷惑行為がSNS上で拡散され、大きな問題となりました。飲食店での迷惑行為は”悪ふざけ”の域に留まらず、2000万円超の賠償金が発生するケースもあります。このような迷惑行為を防ぐためには、どうすればいいのでしょうか?対策方法をまとめました。
迷惑行為の種類
迷惑行為には卓上の飲食物を舐めるなどの客側が行う行為をはじめ、「バイトテロ」と呼ばれる従業員による不適切な行為があります。
商品・飲食物の不適切な取扱い
例:商品に爪楊枝を入れる、飲食物に素手で触れる、飲食物に唾を付ける、飲食物を床にこすり付ける、飲食物をごみ箱に入れて取り出す
店舗・設備の不適切な取扱い
例:冷凍庫・冷蔵庫に入る、中華鍋から上がる炎でタバコに着火する、調理器具を下半身に当てるなどしてふざける
他の顧客に直接不利益を与える行為
例:他の顧客の注文した飲食物を無断で食べる、他の顧客が注文した飲食物に無断でわさびを付ける、他の顧客の情報や映像を無断でSNS等に公開する
迷惑行為はなぜなくならない?
SNSなどの便利さに、利用者のリテラシーが追い付いていないことが原因と考えられます。TwitterやTikTokなどで人がやらないようなことで注目を集め、バズらせようとする若者が増えました。一時期話題になった迷惑系ユーチューバーの影響もあると思われます。元々このような迷惑行為はゼロではありませんでしたが、SNSの普及によって世に知れ渡るようになり、仲間内の悪ノリでは済まされないようになりました。
迷惑行為を防ぐためにできる対策5つ
飲食店での迷惑行為は他の利用者やお店側をはじめ、家族や学校などに危害が及びます。そんな迷惑行為を防ぐために、どのような対策があるのでしょうか?
①迷惑行為をできない仕組みをつくる
そもそも迷惑行為ができないような環境を作ることが大切です。例えば、卓上に置かれた箸・爪楊枝や湯呑みを汚すという迷惑行為を防ぐために、箸・爪楊枝を個包装のものに切り替える、そもそも卓上に食器などを置かずに必要な分だけ渡すという対策をしている店舗があります。卓上に色々な物が置いてあると便利な一方、衛生面での注意が必要になります。
②迷惑行為をすぐに発見できる仕組みをつくる
どれだけ迷惑行為の防止対策を行っても、100%防げるわけではありません。不審な行為が見られた際にすぐに検知できる仕組みが必要です。実際、「くら寿司」ではレーン上の皿の動きをAIがチェックするシステムを導入しています。食べた皿をレーンに戻すなど、カバーが不審な動きをした際にカメラに搭載のAIが画像認識で検知するようになっています。
③貼り紙などでの注意喚起
例えば、「店内での迷惑行為は多額の賠償金が発生する場合があり、多額の賠償金で家庭崩壊したケースもあります。あなたはそれでもやりますか?」といった強いメッセージを発するのも対策の一つです。交通事故や飲酒運転のように社会的地位も失い、家庭が崩壊しかねないという警告をするのは効果的です。「見てるぞ」という意味合いで、防犯対策ポスターのような鋭い目つきのイラストを載せるのも有用です。
④家庭や学校、企業で教育を行う
飲食店での迷惑行為の多くは未成年によるものであるため、家庭や学校でしっかりと教育することが大切です。迷惑行為の深刻さ・重大さを予め知らせるべきでしょう。また、「バイトテロ」を防止するためにも、企業側から従業員への教育も必要です。入社時に迷惑行為を行わない旨の誓約書を、きちんと内容を理解してもらった上で提出させるといった対策が必要です。
⑤迷惑行為には厳正に対処する
SNSを通じて迷惑行為を発信する行為は、法律に触れる可能性が高いです。たとえば、回転寿司に唾を付ける行為は、業務妨害罪にあたる場合があります。唾が付いた寿司が提供されていることが不特定多数の人に広がれば、名誉毀損罪に該当する可能性もあります。迷惑行為は飲食店が甚大な被害に遭う可能性が高いため、対応する姿勢を見せることが再発防止と企業の今後のイメージ回復にも繋がります。
最後に
飲食店での迷惑行為に対する対策を紹介しました。筆者自身も回転寿司が大好きなので、迷惑行為は世の中から無くなってほしいと願います。厳正な対処をしなければならない飲食店の皆様には頭が下がる一方です。どんな場所でも安心して食事を楽しめる世の中になればいいですね。